経済: 2008年4月アーカイブ

 ■すみ分け形態も一因

 みずほフィナンシャルグループ(FG)は11日、2008年3月期の連結業績予想を下方修正し、最終利益が従来予想を1700億円下回る3100億円になる見込みだと発表した。米国のサブプライム(高金利型)住宅ローン関連の損失が、傘下のみずほ証券などで計5650億円に拡大したため。同期の業績下方修正は3度目。

 サブプライム関連損失は従来の予想の3950億円から大幅に増える。損失のうちみずほ証券が4470億円を占め、08年3月期は4200億円の最終赤字となる。みずほコーポレート銀行でも1200億円弱の損失が発生した。

 みずほFGは期初に過去最高の7500億円の最終利益を見込んでいたが、9月中間決算時に6500億円、今年1月に4800億円へと下方修正しており、3度の修正という異例の事態となった。

 みずほFGが3度の下方修正を余儀なくされたことは、損失の確定すら困難なサブプライム問題の「底深さ」を改めて浮き彫りにした。ただ、みずほの損失額は3メガバンクの中でも突出している。海外業務を将来の成長戦略の柱と位置付け果敢に打って出たことの“代償”といえるが、グループ会社が法人向けと個人向け業務ですみ分ける独特の形態による主導権争いが一因との声もある。今後、グループ形態の見直し論議が浮上する可能性もありそうだ。

 「八百屋の品ぞろえを拡充している矢先に、台風に襲われて売れなくなった」

 みずほFG関係者は、サブプライム関連の損失拡大をこう例え、苦虫をかみつぶした。

 ≪成長へリスク≫

 みずほ証券では、英国子会社がサブプライム関連の証券化商品を組み込んだ債務担保証券(CDO)などを組成し投資家に販売する業務を手掛けていた。他社が「リスクが高く、とても手が出せない」(中堅証券)という証券化商品を大量に抱えており、その“在庫”が直撃を受けた。

 みずほ証券が、敢えて証券化業務に注力したのは、海外での投資銀行業務強化という将来戦略の先兵の役割を担っているためだ。

 みずほ証券の親会社であるみずほコーポレート銀行(CB)は06年末に米国で金融持ち株会社の認可を取得。今年に入り、サブプライム関連で巨額損失を出した米メリルリンチに約1200億円を出資するなど海外で攻勢をかけている。

 他の邦銀はリスクに慎重になり関連商品に手が出せず、軽傷で済んだ。唯一、高い授業料を払わされたみずほFGだが、「リスクを負わなくなったらバンカー失格」(アナリスト)と、市場の評価は高い。

 ただ、「リスク管理に甘さがあった」(前田晃伸・みずほFG社長)のも事実。その一因としてグループ形態を挙げる向きは多い。

 ≪収益に焦り?≫

 みずほFGでは、銀行業務でみずほCBが法人向け、みずほ銀行が個人向けと役割を分担。証券でも法人向けのみずほ証券と個人向けのみずほインベスターズ証券がすみ分けている。

 旧日本興業、富士、第一勧業の3行統合に起因しているが、当初から相乗効果や融和の面で疑問視する声は多かった。

 今回の損失拡大をめぐっても、「海外業務を主導するみずほCBに収益への焦りがあったのでは」(業界関係者)との声が出ている。

 「投資銀行強化の方針に影響はない」。みずほCB幹部は強気の姿勢を崩さないが、今回の教訓を今後のリスク管理やグループ戦略に生かしていけるかが問われている。

(引用:Yahoo!ニュース)

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